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紐解きてシウマイ弁当夏の昼

小山正見

久しぶりの鎌倉吟行会だった。縁のなかった鎌倉に毎月のように行けるのは嬉しい。しかも、毎月穴場中の穴場がセレクトされている。中心部の喧騒から外れた鎌倉らしい鎌倉を堪能できる。
世話人の方々に感謝だ。
今日の吟行地は覚園寺である。この寺は北条義時が建てた大倉薬師堂がもとになっている。
拝観受付から先は「祈りを捧げる空間」として、撮影や写生が禁じられている。
が、俳句で写生するのはOKらしい。

涼気満つ撮影禁の木立かな

鎌倉宮でバスを降り、歩く。瀟酒な住宅が並んでいる。蒲原有明住居跡がある。川端康成はここに寄寓していた。

炎天ややうやう寺の石階段

坊さんが薬師堂やイヌマキの大樹について説明してくれた。

薬師堂夏鶯の声しきり
ある時は雷避けの神樹かな

鎌倉駅に戻ってきたのは午後1時に近かった。昼飯は弁当にした。まず目についた崎陽軒のシウマイ弁当980円。
かろうじて千円以内に収まっている。
小さめだが焼売が6個。ご飯は詰め込まれているのでかなり量がある。腹いっぱいになれば、取り敢えず満足だ。しかし、そのご飯を食べるだけのおかずが問題だ。味付けが濃い。長い時間持たせるだけでなく、ご飯を進ませる効果を狙っている。鍵は細かく切った筍の煮物だろう。ご飯の中央に乗せた青い梅干が弁当らしさを強調している。卵焼きの黄色、蒲鉾、そして赤いドライの杏の一欠片も色合いを豊かにしている。僅かだが、昆布の佃煮もついている。
値付、量、味、食材の多様さ、そして色合い。いかに工夫して作られているか、それこそ舌を巻いた。
業界で生き残るのは並大抵でないのだろう。崎陽軒を見直した。
しかし、自分の俳句ももっと考え抜けばいいのだがとは考えないようにする。(笑)