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窓すべて覆ひ尽してゴーヤかな

小山正見

見事な「みどりのカーテン」である。妻の世話になっているグループホームへの道にあるので、成長の過程をずっと見てきた。
六月の半ばには、ゴーヤは二階の窓の遥か下を這っていた。
それから二ヶ月弱である。分厚いカーテンが窓を覆い尽くしてしまった。猛烈な勢いだ。植物はこの猛暑にへたらないのが不思議だ。
前にも記したが、江東区立八名川小学校在任中「みどりの学校」を作ろうと挑戦したことがある。
校舎一階の全面にみどりのカーテンのためのネットを張った。当時竹中工務店におられたYさんのご尽力のおかげだった。
そこそこのみどりのカーテンになったが、そこそこにとどまった。
あの時、I先生に指南を仰げばもっと上手くいったに違いない。
彼は、古くからの友人で、みどりのカーテンの専門家だ。I先生は環境教育実践の草分けのような方で、行く先々で見事なみどりのカーテンを育てた。
どうして招かなかったのか、今になって悔やんでいる。(笑)
先生とは一度、偶然に川崎の生田緑地の入口で出会ったことがある。奥様がすてきな方で確か音楽の先生だったと記憶している。
翻って考えると我が家の煉瓦塀はアイビスに覆われている。これもみどりのカーテンの一種と言っても良いだろう。12年前に妻が始めた。たった一本のアイビスが少しずつ少しずつ壁を這い、10年近くをかけて全面を覆うようになった。

荒梅雨の花に水やる君と居て

もしかして妻はアイビスに希望を託していたのかもしれない。

その隣には萩が大きく成長している

萩咲かせ昔の家に戻しけり

(句集『大花野』より)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/171641