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柿たわわ生まれて初めて通る道

小山正見

江東区に勤め、俳句教育推進担当をしていた時、10年以上区内の46の小学校を毎年訪問した。しかも年に数回ずつ。江東区中を歩き回ったことになる。
比較的余裕があったので、行き帰り歩くことも多かった。行く時と帰る時では別の道を通った。
知らない路地を曲がってうねうねと辿ると突然見知った場所に出たりする。下町のど真ん中で山の手のような住宅群に出会ったこともある。
区内にあるお稲荷さんの多さに驚いた。一つ一つマークすれば貴重な資料になると思った。地図上に歩いた道を塗りつぶし、区内の全ての道を制覇しようと考えた事もある。生来のいい加減な性格ゆえに記録しなかったのは残念である。
永六輔が言ったように「旅の始まりは知らない街角を曲がること」は本当だと思った。
写真の道、妻のお世話になっているグループホームからの帰り道に近いが初めて通る道だ。
この道を通って誘われた「哲学カフェ」を覗いてみようという魂胆だ。いったいどんな話がなされるのか、知らない街角を曲がるのと同じように魅力的だ。
この日のテーマは「人はなぜ騙されるのか?だます人、だまされる人~」zoomの方も含め、参加者は七人。丁度話しやすい人数である。
社会問題になっている「詐欺」が話の出発点だった。
悪意あるだましは分かりやすいが、悪意のないだましをどう捉えるのか新興宗教の勧誘は、だましかそうでないのか。
「結婚」はどうだろう。「あばたもえくぼ」というのもある。
こんなはずではなかったということが人生には、いろいろある。
難しい。
参加されていたNさんが「人生はだまし、だまされだなあ」と仰ったのが印象的だった。
「哲学カフェ」に参加して新しい知己を得ることかできた。
知らない街角を曲がると時に素敵なことに出会うものだ。