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半世紀巻き戻したる秋日かな

小山正見

千葉市内の学校に招かれて、俳句の授業をしてきた。素敵な六年生で、授業する私の方が楽しかった。
教務主任の先生が西千葉まで車で送ってくれた。西千葉には千葉大学がある。
ぼくは、1970年の卒業生である。今から半世紀以上前である。
久しぶりに構内に入った。
当時は、赤土の上に校舎だけが目立っていた。今は緑の学園に変貌している。
目立つ位置に「チラシ配り、アンケート禁止」の看板。勿論立看板など一枚もない。
けやき並木の後ろに微かに見えるのは大学生本部の建物である。ぼくの在学中にできた建物だ。耐震工事の枠が建物の外壁全体を埋めていた。
大学生協の食堂で昼食を取ることにした。
味噌汁、ほうれん草ゴマあえ、牛肉コロッケにセルフバーからの数品。これで688円だった。安い。それにお茶は飲み放題。これなら毎日でもきたい。
当たり前だが、周りは若い学生ばかり。
気がついたことが2つある。
一つは多くの学生が大きなリュックを抱えていることだ。手で持つパッグの学生は全く見かけない。パッグの色は圧倒的に黒である。
もう一つは、広い食堂なのに、わざわざ柱を前にした前が見えない席に座る学生が後を絶たないことだ。前が壁の方が安心するのだろうか?不思議な光景だった。
語らいの広場という公園のようなこの場所のベンチに座っていると、半世紀前の友達の顔が浮かんでくる。その中で切磋琢磨し、育てられたことを今さらながら懐かしく思った。