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タワマンの煌々として秋の闇

小山正見

神戸市が市街地でのタワーマンション規制を打ち出し、話題になっている。
50年後、100年後のスラム化などの問題点を提起しており、興味深い。
タワーマンション(タワマン)ほ、1976年に与野市に住友不動産が建てた「与野ハウス」が初めとされている。
21世紀を目前に控えた1997年の建築基準法の改正以降、タワマンの建設は飛躍的に増えた。
その頃、新聞などで盛んに議論されたのは子どもの生育環境としてのタワマンの問題だった。生まれる前から超高層に住み、正常な発達が妨げられるのではないかと心配された。友達関係はどうなるのか。地面に接することがこれまで以上に難しくなる。生物のしてのヒトが変わってしまう懸念がだされた。
高度恐怖など感じなくなるのではないかと思った。
タワマンは、ニョキニョキ増えて、今は至る所にある。
20年ほど前、ぼくも一時タワマンに越そうかと考え、見学に行ったこともある。
結果、断念した。一番の理由は価格の高さで、とても手が届かない(笑)からだ。
しかし、それ以外にもやめた方が良いという理由もあった。
一つはエレベーターの問題である。数台のエレベーターで30階を往復するのだ。高層階なら混んだ時には10分待ちになってもおかしくない。災害で電気が止まれば、歩いて登らなければならない。これはたまらないと思った。
二つ目はマンションの価格差である。
衆知のことだが、マンションは一階上に行くと100万から200万価格があがる。
下層階は3、4千万でも上層階は億を超える物件は幾つもあった。中には上層階をエクゼブティブフロアと称して差別化を図ったマンションもある。
同じ管理組合になった時にうまく行くのだろうかという疑問が湧いた。
高層マンションのある地域の学校で聞いた話。
子どもたちの間で「何階に住んでいるか」が話題になるという。友達評価の一つの基準になるのだろう。平場ではあまり感じない経済格差がここにも影を落としているようだ。
人間の知恵はいずれこうして問題をも克服していくに違いないが、煌びやかな灯りの中にも闇は潜んでいるということだ。