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鳥の声十一月の風の中

小山正見

画面から音が出せないのが何とも残念だ。
(そう考えると動画俳句もありかもしれない)
一日、なにも予定が入っていない日があったので、麻生区にある王禅寺を訪ねた。
夏にも来たことがあるので、これで2回目だ。
初めての時は大いに迷った。Googleの地図と寺の場所が違ったからだ。土地としての王禅寺は認識されているがお寺としての王禅寺が認識されていないのだと思う。何事でもそうだが、Googleマップも完全ではない。
しかし、前回間違えたお陰で、今回はスムーズに王禅寺の門に辿り着けた。
実に静かだ。聞こえるのは葉擦れの音と鳥の声だけ。こんなに鳥がいるのかというぐらい囀りが止まらない。
にもかかわらず、静寂の中にいるという感覚。松尾芭蕉になぞらえれば、差し詰め

静けさや笹に溶け込む鳥の声

といったところか(笑)
王禅寺は柿で有名だ。甘柿の原木「禅寺丸柿」が発見された場所で、その原木が境内に残っている。仰々しく石碑やら看板やらが立っている。
ご存知のように柿はほとんどが渋柿である。甘柿を接木することによって、甘くなるのだ。
ぼくが子どもの時、食べた柿の種を庭にぷいと吐き出した。するとそこから芽が出て、柿の木になった。甘柿の種なのだが、できるのは渋柿。接木をして甘柿になった。秋になると20も30も柿が取れた。
禅寺丸柿は、実が小さく種も大きいので今ではなかなか商売にならないらしい。
保存会がワインにして売り出したという話もあるが、今はどうなっているのだろう。
王禅寺の隣は王禅寺ふれあい公園という名の広大な公園になっている。昔はここも寺域だったのだろう。紅葉が少しずつ始まっている。すっかり紅葉になったらさぞ美しいだろう。
柿生の駅からのハイキングコースもあるようだ。
王禅寺はぼくの聖域になりそうだ。