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「たまや!」てふ子どもの声や揚花火

小山正見

ビルの上の花火は、隅田川花火の第二会場である。
コロナ禍を経て、隅田川花火を見物するのは5年ぶりだ。
10年ほど前に雷雨で途中中止になったことがあった。今年もヒヤヒヤしたが、どうやら切り抜けた。
花火の進歩は著しい。今年は赤や緑の輝きが一段と増した印象が強かった。昔の花火は一色が普通だった。それが多色になった。しかも途中で色が変わる花火や飛び方が変わる花火が現れた。半分緑で半分は赤なんていうものもある。土星のように輪を持つ花火、楕円形からニコちゃんマーク。今の花火は何でもござれだ!
その上、コンピュータ制御で連射連発。
1時間半で2万発とか3万発というのだからすごい。各地の花火大会が盛況なわけだ。
振り返ってみると、最初に見た打ち上げ花火は多摩川だった。父親に肩車をされて見た。多摩川の土手の混雑の中で、父は財布を擦られたらしい。今でも記憶に残っているのはそのことだ。
自宅のそばの滑り台の上から見たこともある。まわりが全て田んぼだった頃だ。
教員になり、こども達を引率した岩井の臨海学校では海の花火を見た。海上に扇のように広がった花火は、見応えがあった。
江東区内に引越して見たのは東京湾の花火だった。最初は丸ごと見えたが、前にビルが立ち、半分しか見えなくなった。
最後にはビルの窓に反射する光しか見えなくなった。
毎年一回、息子の家に家族が集まって隅田川の花火を見る。妻はもうこの場には参加できなくなってしまった。代わりに孫のSが加わった。しばらくは、僕もこの場に参加できるだろう。