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鉛筆の先から春のほどけ出す

小山正見

今日から「大花野展」が元住吉の感泣亭で始まった。会期は13日(日)までである。
「俳句から生まれた帽子」「帽子から生まれた俳句」小林愛さんと小山正見のコラボレーションである。
「一点お洒落主義」のぼくの帽子は、すべて小林愛さんの手によるものだ。
小林愛さんとの出会いは偶然だった。
母が亡くなった年、妻と学芸大学に出かけた。昔からある「宮川」で鰻を食べるためだ。
「宮川」は母と一鰻を一緒に食べた思い出の店だ。
ところがそこに「宮川」はなかった。がっかりして帰りかけたとき、近くの二階にお洒落な店を見つけた。
古い木の階段を上って聞いた。
「何の店ですか?」
そこが帽子作家小林愛さんの工房兼スタジオViridianたった。
ぼくは、いつの間にかViridianの常連になっていた。
小林さんは、ぼくの句集『大花野』を読み、縁のある方々に紹介してくださった。俳句そのものにも興味をもたれ、その結果「帽子屋de俳句」というイベントが生まれた。「ドレスコードは帽子」というこのイベントは既に五回を重ねている。
小林さんの帽子の作品にぼくが俳句をつけ、ぼくの俳句をモチーフに小林さんが帽子を作る。おそらく日本に一つしかない試みだろう。
その集大成が今回の試み「大花野展」小林愛×小山正見である。
帽子や小物で飾り付けられた感泣亭は、さながらお洒落なブティックのようである。
小林さんの作業を見ていて「作家というものは完璧を目指すものなのだ」と強く思った。小物ひとつひとつまでおろそかにしない。作品の一つ一つに心が宿っているのだ。
小林愛さんの帽子がますます好きになった。
初日の今日は約二十人の方が立ち寄ってくださった。中には、20年ぶりのKさん、30年ぶりのTさんの姿もあった。とても嬉しかった。
会期は13日(日)までである。できるなら、ぜひ時間を作って訪れていただけるとありがたい。お待ちしています。