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道々に点々とあり草の花

小山正見

JR 川崎駅を降りるとエントランスが華やかだ。天井からぼんぼりのように色とりどりの
花のボールが飾られている。壁には「全国都市緑化かわさきフェア」の巨大なポスター。期間は、十月十九日から十一月十七日までである。
メイン会場は富士見公園・等々力緑地・生田緑地の三箇所とある。
富士見公園は、市役所通りを行けば歩いて十五分ほどの距離。バスなら五分。
富士見公園はリニュアルを終えたばかりで中央の芝生広場の緑がまぶしい。
昔この辺りに川崎球場があった。子どもの頃、大洋ホエールズと巨人の試合を見にきたことがある。球場のあった場所は、今はアメリカンフットボール場だろうか。当時のごちゃごちゃした印象は微塵もない。
公園に入ると仮設の花壇が広がり、秋の花々が鮮やかに咲き、コスモスが風に揺れている。
壁面緑化のさまざまな基盤が展示されていたり、工夫を凝らした「みどりのベランダ」コンテストもあったりして楽しい。
川崎市の緑化率は、水域を含めて 29%である。少ないとは言えないが、地域による差が大きい。丘陵地を抱える多摩区と昔から開けていた川崎区ではまるで様相が違う。それに今は緑の多い地域も開発が進むと畑や原野があっという間になくなってしまう。緑化は難しい課題だ。
富士見公園は美しいが、一歩街に出ると自然は見当たらない。普段の行動範囲は決まっている。そこに花や緑がなければ意味がないと思った。そんなことを考えながら、我が家への路地を曲がった。
するとあるではないか。花が。緑が。家の前に置かれた小さなプランターに可愛い花が咲いている。垣根からすすきの穂が顔を覗かせている。
「これだ。」と思った。少しの花や緑でもそれが繋がっていけば素敵な回廊になるかもしれない。
ぼくも早速プランターに花を植えることにしよう。