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萩溢る溢れ溢れて花の滝

小山正見

「萩」と口ずさんだら、思い出したことがある。
歌舞伎だ。そう言えば「伽羅先代萩」という演目があった。
こう書いて「めいぼくせんだいはぎ」と読む。ちんぷんかんぷんであるが、伊達騒動を題材にした歌舞伎の人気演目である。
ぼくは、これを旧歌舞伎座で観ている。
確か、御殿の場である。乳人の政岡が我が子の命と引き換えに主君を守る場面である。
この芝居では、原田甲斐は悪人中の悪人となっているのだが、山本周五郎の『樅の木は残った』では正反対。物事は見方によってこうも変わるのか、興味深かった。
50代に入ってからだったと思う。人に誘われて、柄にもなく毎月のように歌舞伎座に通ったことがあった。天井桟敷の一幕見もよく行ったが、2階席が多かった。
もしかしたら、半分は寝ていたかもしれない。言葉がわからない。解説のイヤホンを借りても付いていくのが大変だった。
月に25日も興行し、毎日満員にするのだから大したものだと思う。逆に言えばそれだけの人が毎日観にいくのだから、日本人の民度は高いとも言える。
歌舞伎だけではない。若冲でも埴輪でもフェルメールでも、どんな展覧会も何時間待ちになるほどの人気だ。
話がずれた。