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萩乱る我が家我が庭我が窓辺

小山正見

拙句集『大花野』に

萩咲かせ昔の家に戻しけり

を入れた。萩は妻の願いであり、母の思い出、父の思い出に通じる。
今、我が家を「感泣亭」(かんきゅうてい)と称しているが、これは父・正孝が自分の書斎に付けた名前の拠る。
その書斎の前には正孝の親友であった坂口昌明さんから贈られた萩が繁茂していた。
坂口さんは、正孝の詩の最大の理解者であり、『一詩人の追求ー小山正孝氏の場合』を出している。本人も詩人であるが、守備範囲は驚くほど広く、音楽から民俗学まで及ぶ。
晩年の坂口さんの主なフィールドは津軽であった。
坂口さんが再録した『お岩木さま一代記』は民俗学的にも貴重な資料であり、死後出版された『安寿 お岩木山一代記奇譚』は優れた研究成果であった。
実は、この本は岩波から出ることになっていた。岩波の雑誌『図書』の巻頭に坂口さんのこの内容が報じられ、これからという時に、坂口さんは亡くなられた。
残念というしかない。
感泣亭の諸活動の源泉も全て坂口さんに依る。
正孝の書斎から見つかった未発表の詩篇を『未刊ソネット集』にまとめるなど、わずかな期間に4冊の本を刊行してくださった。
昨年18号で終刊した『感泣亭秋報』の原型を作ってくださったのも坂口さんだった。正孝の詩業は坂口さんによって萩のように咲き乱れたと言ってよい。
http://kankyutei.la.coocan.jp/%E5%9D%82%E5%8F%A3%E6%98%8C%E6%98%8E%E6%B0%8F.htm

その当時とは異なるが、今また感泣亭は萩の花に囲まれている。