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菜の花のすつくと伸びし花壇かな

小山正見

ここは花壇なのだ。江東区立八名川小学校に隣接する八名川公園である。
墨田区や江東区の深川地区には、隣接して公園の作られている小学校が多い。これは、関東大震災の教訓からである。つまり避難所だ。
太平洋戦争末期、この辺りは三月十日の空襲で最も被害を受けた。八名川小学校に逃げ込んだ人も多く亡くなった。生き延びた人は、窓から這い出し、プールの水をかぶって助かったという。満月を倍にしたような大きな太陽が朝昇ってきたのが記憶に残っているという話を聞いた。八名川公園には多くの人の遺体が集められ、山になったらしい。
今、その八名川公園は花に満ちている。Nさんを中心とする「八名川花の会」のおかげである。
ぼくがNさんと知り合ったのは2009年に遡る。「発見、感動、創造の俳句教育」をテーマにした研究発表会の直前だった。Nさんは、校舎内を花で飾ってくださった。その後、Nさんは仲間を集め、八名川小と八名川公園を緑と花の素敵な空間に変えていった。
学校の北側は紫陽花ロードになった。植えられた河津桜はピンクに染まりつつある。クリスマスローズの鉢植えが学校の門の西側を飾っている。
公園の花壇も格段に整備され、小さな梅の木も花を付けている。
「こんなに小さいのに花が咲くんだねぇ」
と聞いたら、盆栽の梅の木を地植えしたのだという。
実は河津桜も、Nさんが旅行の時に苗木を持ち帰ったものである。
工夫と弛まぬ献身的な働きのおかげで、八名川小と公園は花でいっぱいである。
先日「八名川花の会」は15年以上にわたる活動が認められ、コミュニティガーデン長期継続活動として、江東区から表彰された。
感謝しかない。頭が下がる。
ありがとうございました!