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涙して鬼は外より福は内

小山正見

節分の定番は「おには外!福は内」であるが、成田山新勝寺では「鬼は外」を言わず「福は内!福は内!」というらしい。
本尊の不動明王の前では鬼も改心してしまうという言い伝えからだそうだ。上野の寛永寺の開山堂の豆撒きも「鬼は外」は言わない。鬼子母神を祀っている神社でも当然「鬼は外」は言わない。京都府福知山市の大原神社では「鬼は内!福は外」と言うらしい。
「鬼は外」は災害や疫病などを人間が生きていく上での前提を覆す事柄を追い払いたいという願いだと思うが、単純にこの言葉を教育の場に置き換えて考えると「鬼は外!」は「悪いところを治せば良くなる」、「福は内!」は「良いところを伸ばせ」とも考えられる。
若い時には随分心理学の本を読んだ。フロイト、ユング、アドラー、メニンジャーetc
その過程で森田療法の解説書にも出会った。その本だったか定かではないが、問題を座礁する船に例えて、「原因の岩礁を破砕する方法もあるが、水位を高く保てば、岩はあっても座礁しない」と説いていた。ぼくはその通りだと思った。
明らかに「鬼は外」ではない。
癌治療などでは「鬼は外」でないと、問題は解決しないが、人間関係や精神的な問題では「福は内」の方が適している場面が多いと感じる。教育問題にしても同様だと、今も思っている。
写真の鬼は涙しているのかと思って、よく見たら牙を剥いているのだとわかった。
甘い考えでは、鬼に食い殺されてしまうかもしれないが。(笑)