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歳晩の待合室の人の数

小山正見

不覚にも腰を痛めた。痛めたと言うより、勝手に痛くなってしまった。最初は僅かな違和感だけだったが日を追うごとに痛みが強くなった。その感じが、三年前の坐骨神経痛に似ている。その時は、整体に通って治した。しかし、二回目だ。
「大きな病院でちゃんと診てもらったほうがよい」
という助言に従い、近くの関東労災病院に行くことにした。
関東労災はスポーツ整体で有名な病院だ。
電話したら
「紹介状がないと受け付けない」
と言う。粘ったが、埒があかない。
整形外科に行って、紹介状をもらえと言うわけだ。
でも、それって少し失礼ではないか。オタクの病院は信頼できないからと言っているようなものだ。(本当はそんなことはないようだが)
そこで一計を案じて、行きつけの内科医院に行き、紹介状を書いてもらった。これなら失礼に当たらない。(不自然ではあるが)
労災病院の待合室は人が溢れていた。久しぶりの病院だが、こんなに人が多いのかとびっくりした。
しかし、比較的スムーズに診察に辿り着いた。簡単な問診の後、レントゲンを撮った。
「骨に問題はありませんね」
医者は問題は解決したと言うような顔をしている。筋肉の痛みはそのうち治ると言わんばかりだ。
しかし何だか気が軽くなった自分がいた。すると痛さが気にならない。
最近『間違える脳』(櫻井芳雄著 岩波新書)と言う本を読んだ。
その中にプラセボの話があった。プラセボとは偽薬のことだ。頭痛薬だと信じ込ませて小麦粉を飲ませると、数十%の人は頭痛が軽減すると言う。偽手術というものあるらしい。
医者の話も一種のプラセボだなぁと思った。信じるものは救われる。
それにしても、気がつけばやっぱり痛い。