俳句フォトエッセイ2024.06.29梅雨兆す森下A1出口かな小山正見森下は、六年間勤務した江東区立八名川小学校があるところである。久しぶりに森下で降りて、八名川小以前にもこの駅で降りたことがあった事を思い出した。ベニサン・ピットという小劇場があったのだ。染物会社ベニサンが工場跡地に作った演劇アトリエだ。1985年がオープンである。客席は200未満だと思うが、印象的な芝居が次々に上演された。一つは、玉三郎が主演の「ナスターシャ」だ。舞台が客席の真ん中にあった。芝居が終わった時、玉三郎の存在感だけが残るような舞台だった。二つ目は、TPT (シアタープロジェクト東京)である。照明の使い方が絶妙な美しい舞台か特徴的だった。ルヴォー演出の「テレーズ・ラカン」には強烈な印象が残った。佐藤オリエがよかった。その年の讀賣演劇大賞の最優秀賞を獲得している。三つ目は蜷川幸雄の実験劇だ。芝居の間中舞台上に雨を降らせ、びしょ濡れの役者が劇場中を飛び回る劇もあったし、高い壁の上からロープで役者が降りてきて始まる芝居もあった。最後はその壁を登って芝居が終わるのだ。最初から最後まで壁の中途にぶら下がっていた役者もいた。芝居の中身は全て忘れたが、その記憶だけは強烈だ。ベニサン・ピットは、2009年に閉鎖され、現在はマンションになっている。
森下は、六年間勤務した江東区立八名川小学校があるところである。
久しぶりに森下で降りて、八名川小以前にもこの駅で降りたことがあった事を思い出した。
ベニサン・ピットという小劇場があったのだ。染物会社ベニサンが工場跡地に作った演劇アトリエだ。1985年がオープンである。
客席は200未満だと思うが、印象的な芝居が次々に上演された。
一つは、玉三郎が主演の「ナスターシャ」だ。舞台が客席の真ん中にあった。芝居が終わった時、玉三郎の存在感だけが残るような舞台だった。
二つ目は、TPT (シアタープロジェクト東京)である。照明の使い方が絶妙な美しい舞台か特徴的だった。
ルヴォー演出の「テレーズ・ラカン」には強烈な印象が残った。佐藤オリエがよかった。その年の讀賣演劇大賞の最優秀賞を獲得している。
三つ目は蜷川幸雄の実験劇だ。芝居の間中舞台上に雨を降らせ、びしょ濡れの役者が劇場中を飛び回る劇もあったし、高い壁の上からロープで役者が降りてきて始まる芝居もあった。最後はその壁を登って芝居が終わるのだ。最初から最後まで壁の中途にぶら下がっていた役者もいた。
芝居の中身は全て忘れたが、その記憶だけは強烈だ。
ベニサン・ピットは、2009年に閉鎖され、現在はマンションになっている。