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春来たり夢の未来へ飛び立たん

小山正見

春を思わせる一日、多摩川沿いを散歩していると、ホテルに目がとまった。ただのホテルではない。飛びっ切りおしゃれなホテルだ。ロビーに入ると、アメリカの西海岸にでもいるような気分になってくる。いかにもやり手に見えるビジネスマンが、テーブルでパソコンに向かう。ディスカッションしている若い人たちの姿も。
 京急大師線の小島新田駅から歩いたら、20分もかかるだろう。バスの便だって良くない。こんな不便な場所に、なぜこんなおしゃれなホテルがあるのか、不思議に思った。名前は? 見ると「キングスカイフロント東急REIホテル」とある。
 キングスカイフロントとは、すごい名前だ。キングとは「王様」のことかと思ったら、「Kawasaki INnovation Gateway」の頭文字からきているとのことだ。所在地の「殿町」にかけた名前でもあるようだ。
 外に出ると、ホテルの周りを、最新鋭のビル群が取り囲んでいる。研究機関の建物らしい。国家戦略特区なのだ。70近い企業や研究機関が集結し、ライフサイエンスから環境分野などで世界最高水準の研究開発が行われている。そこから新産業が動き出す。その開かれた拠点がここなのである。
 川崎は戦前から京浜工業地帯の中心として、一貫して日本の産業を支え続けてきた。中核になった日本鋼管(現JFEスチール)が創業したのは1912(明治45)年にまでさかのぼる。戦後も川崎は、自動車、電機、情報産業などで一世を風靡(ふうび)した。そしてこれからは、ここキングスカイフロントが産業の牽引(けんいん)役として期待されているのだ。
 ホテルの前は多摩川。その向こうには羽田空港の広い空が広がっている。夢の技術が、川崎から世界の空へつながっていくことを期待したい。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/383299