俳句フォトエッセイ2024.12.01新宿は新宿のまま年の暮小山正見まだ十一月半ばだ。年の暮というのにはまだ早い。しかし年内に新宿に出向く用はもうないので、ぼくにとっては年の暮のようなものだ。若い時に大変にお世話になった人が、年内で店を閉めるというので、挨拶するための新宿だ。この機会を逃すと、次に会うのはあの世になりねない。少し時間があったので、新宿を久しぶりに歩いた。感触では50年前の新宿と少しも変わっていない気がする。新宿に初めて足を踏み入れたのは高校生時代。歌声喫茶「カチューシャ」だった。流行のディスコに何回か行ったことはあるが、酒に興味がないので、歓楽街にはまり込むことはなかった。代わりに喫茶店にはよく行った。一番印象に残っているのは新宿風月堂だ。壁が落書きだらけで、その空間にいるだけで時代を感じられた。いわゆる新宿騒乱の前後だっと思う。70年代に入って、武蔵野とか青蛾などの喫茶店にもよく行った。最もよく通ったのはTOPSという店で紀伊國屋の斜め裏、靖国通り沿いにあった。喫茶店は無くなったがビルは今でも残っている。渋谷は若者の街だが、新宿はもっと猥雑だ。コマ劇場前の広場には、メイド喫茶のようなコスプレの女の子や男の子がずらっと並んでいた。年若き女の子からおばさんまでの女性が長い列を作っていた。推しのアイドルの公演でもあるのだろうか。ビルの隙間からはゴジラが顔を見せ、アパホテルが空まで伸びていた。新宿はいつまで経っても新宿のままだ。
まだ十一月半ばだ。年の暮というのにはまだ早い。しかし年内に新宿に出向く用はもうないので、ぼくにとっては年の暮のようなものだ。
若い時に大変にお世話になった人が、年内で店を閉めるというので、挨拶するための新宿だ。この機会を逃すと、次に会うのはあの世になりねない。
少し時間があったので、新宿を久しぶりに歩いた。
感触では50年前の新宿と少しも変わっていない気がする。
新宿に初めて足を踏み入れたのは高校生時代。歌声喫茶「カチューシャ」だった。
流行のディスコに何回か行ったことはあるが、酒に興味がないので、歓楽街にはまり込むことはなかった。
代わりに喫茶店にはよく行った。一番印象に残っているのは新宿風月堂だ。壁が落書きだらけで、その空間にいるだけで時代を感じられた。いわゆる新宿騒乱の前後だっと思う。70年代に入って、武蔵野とか青蛾などの喫茶店にもよく行った。最もよく通ったのはTOPSという店で紀伊國屋の斜め裏、靖国通り沿いにあった。喫茶店は無くなったがビルは今でも残っている。
渋谷は若者の街だが、新宿はもっと猥雑だ。コマ劇場前の広場には、メイド喫茶のようなコスプレの女の子や男の子がずらっと並んでいた。年若き女の子からおばさんまでの女性が長い列を作っていた。推しのアイドルの公演でもあるのだろうか。
ビルの隙間からはゴジラが顔を見せ、アパホテルが空まで伸びていた。
新宿はいつまで経っても新宿のままだ。