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放棄せし畑に満つる秋気かな

小山正見

相変わらず暑い日が続くが、あちこちに秋の気配が満ちている。
雲の様子を見ると、典型的な秋の雲とは違う。
鰯雲や鯖雲のようなうろこ雲や空高い
巻雲が典型的なあきのくもだとすると、今日の雲はまだまだ夏の装いを有している。しかし、雲に根っこがないのは暑くても秋の空の証拠であろう。
こういう空を「行き合いの空」という。日本語には素敵な言葉ある。夏と秋が行き交っている空のことを指す。
古今和歌集に次の歌がある。

夏と秋とゆきかふ空のかよひじはかたへ すずしき風や吹くらむ

そしてここから「行き合いの空」という言葉が生まれたようだ。
「行き合いの空」を使った俳句はないかと調べたらプレバトで出された梅沢富美男の

行合の空の御朱印めぐりかな

に行き合った。

この畑は妻が世話になっているグループホームの目の前にある。ここに通ってもうすぐ3年になる。
3年前、ここは緑に染まっていた。今年の春はほんの一部分にキャベツが放置されていただけだった。
そして、今は何もない。 
おそらく畑の所有者にも何らかの事情があったのだろう。
3年という年月は、物事を変えるのに十分な期間なのかもしれない。