【大好評】「咲満ちて小山正見の俳句フォト カルタ」販売中!

招かれてファミリーになるお餅つき

小山正見

年の終わりに素晴らしい一日のプレゼントを頂いた。
餅つきに招待されたのだ。
昨年の夏、LINEで偶然にKさんと繋がった。十年ぶりといってよい。Kさんご夫妻には大学時代「マーくん」と呼ばれ、とても可愛がってもらった。家にもよくお邪魔してごちそうになった。
大学を卒業し、就職してからは交流は跡絶えていた
ご主人とは職種が違ったし、Kさんは東京の教員になっていたが中学籍だったので会うことはなかった。
Kさんが管理職になった頃、何回か会って教えを乞うたことはある。
そのKさんが退職まで数年を残して突然校長職を辞した。ご主人が重い病を患っていたことは後で知った。
半年後、ご主人は亡くなった。その後Kさんは実家に戻り、ご両親の老後看取った。
Kさんの実家は旧家である。広大な畑の管理もあり、近所付き合いもある。その生活もけっこう大変なようだ。何よりもあの活動的なKさんが田舎の生活とリズムを合わせているのが、ぼくには不思議に感じたほどだ。
「そのうち一回会いましょうよ」
と言っている内に時が過ぎる。よくあることだ。
何回か会うことにしたが、それぞれに予定ができてこの数年結局会えなかった。
「じゃあ、うちにいらっしゃいよ。年末に餅つきをするから」
最後にこんな話になつた。
「息子もその日は来るから・・・・」
その息子さんの赤ちゃんの時をぼくは憶えている。実に可愛らしい赤ん坊だった。その彼は五十を超えている。その彼、S君とも面識はある。Kさんの家では、ぼくはしょっちゅう話題に上がっていたらしい。旧知のようにぼくを家族の一員のように受け入れてくれた。
餅つきには、S君の仕事のスタッフも参加していた。ゆっくりした豊かな時間が過ぎた。
帰りは、S君の愛車ランドローバーで水天宮まで送ってもらった。車の中で聴いた高橋真梨子の歌声は何とも言えない趣があった。