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大花野展勿忘草(わすれなぐさ)の再び

小山正見

大花野展は今日最終日をを迎えた。天気予報では雨の予想である。今はまだ降っていない。お客さんを帰さない「遣らずの雨」になるのだろう(笑)
スペースの前に置いてある甕に小さな青い花が咲いている。よく見たら勿忘草(わすれなぐさ)だ。
去年の種から芽が出たのだ。
昨年の4月17日にぼくは、この俳句フォトに

どうしても勿忘草をおまえに 正見

を挙げた。
ぼくが妻と初めて出逢ったのは19歳の時だった。それから紆余曲折があって結婚したのは5年後の24歳の時だった。その青春とも言える時期に流行ったのが芹洋子の「忘れな草をあなたに」だった。
朝、YouTubeで探して聴いてみた。この歌は、芹洋子の他に倍賞千恵子や菅原洋一も歌っている。
ぼくの好みで言えば何と言っても倍賞千恵子だ。甘い歌声が心を揺さぶる。
https://youtu.be/QiCrhhl69IM?si=3taEQ1ItTDVmg6hE
しかし、これは別れの歌のはずだ。よくよく歌詞を聞いてみると、別れはこんなに優しく甘いものではないだろうと老人になったぼくは思う。
「抱きあう日」など来るはずがないに決まっている。
そういう意味では、小山正孝の詩の方がよほどリアルだと思った。

 雪つぶて

かなしい事なんかありやしない
恋しいことなんかあるものか
さう思ひながらもあなたのやさしい返事を待つていた
まぶしいやうな雪の朝 路傍で僕は佇んでゐた
僕のうしろを馬車が通つた
僕のうしろを人が通つた
でも 閉ざされたままの白い二階の窓だった
強烈なものを信じ
自分がいいのだと思ひながら
昨夜までのあたたかいあなたの眼ざしと声をそのまま
僕はその時も待っていた
明るい日はキラキラキラキラかがやいて
するどく風がかすめてすぎた
閉ざされたままの二階の窓
僕は雪つぶてをつくつて いきなり どすんと投げつけた
こなごなの窓
僕は逃げた
さうしてあなたをあきらめた