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大川の流れも明日の春を待つ

小山正見

隅田川沿いを歩いていたら、突然十四年前にタイムスリップした。
退職を控えたある日、NHKから電話がかかってきた。取材の申し込みだった。
当時始めた「Twitter俳句」を取材したいというのだ。
若者は、Twitterを使いこなしているが、老人で使っている人は少なかったので、目をつけられたらしい。それに「俳句」は如何にも老人らしくていい。(笑)
今も私は老人だが、十四年前もすでに老人だったのだ。
私は、Twitterを主にパソコンでしていたのだが、丁度取材の一週間前にiPhoneを買ったばかりだった。手描き文字入力ができることが購入の決め手だった。
卒業式を終えた3月26日が取材日だった。春とは言え、まだ寒い日だった。
隅田川沿いを歩く絵を撮っている時に、突然「一句詠んでください」と言われて一瞬頭が真っ白になった。苦し紛れに咄嗟に詠んだのが写真の句、「大川の流れも明日の春を待つ」である。だから、これは十四年前の句なのだ。
学校の前の公園に示し合わせ通りに仲間が集まり、ニュースの一つとなった。
その時の画像を誰かがYouTubeに投稿したらしく、まだ残っている。
懐かしい映像だ。

放映は、4月2日だった。
その間に私は、俳句フォトの最初の作品を作っている。

仕事終え春満月に迎えらる

「フォト一句」という俳句フォトのアプリを見つけたからである。
卒業式や退職の準備で忙しいはずの時期、一番感慨深いはずの十日間、私はiPhoneと俳句にのめり込んでいたらしい。