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夏めける深川ご利益通りかな

小山正見

深川といえば、まず頭に浮かぶのは富岡八幡宮である。境内には、伊能忠敬の像や歴代の横綱の名を彫った力士碑がある。富岡八幡の祭りは江戸三大祭りの一つとされる。域内五十三基以上の神輿が練り歩く「神輿連合渡御」には多くの観光客も集まる。
次に有名なのが深川不動堂だろう。
地下鉄門前仲町の木場側出口の階段を登ると、和菓子で有名な深川伊勢屋の前に出る。
ここから深川不動までの参道が「人情深川ご利益通り」である。
わずか百五十メートルほどの商店街だが、面白い店がたくさんある。
和菓子の「梅花亭」。この店からどら焼きが誕生したと言う。「日本一堅いせんべい」と書かれた看板の店の名前は「其角」である。其角とは芭蕉の弟子の宝井其角のことだ。
隣のMONZ CAFEはおしゃれでぼくのお気に入りの店でもある。
深川不動堂は、成田山新勝寺の別院で真言宗の寺である。
一日五回護摩祈祷が行われている。
この護摩祈祷を受けると仏教とはこういうものなのかということが実感できる。
煌びやかで荘厳なお堂。目を見張る。
お坊さんが並び、読経の声が響く。この声がまた美しい。アカペラの合唱のようだ。
それに錫が加わり、法螺貝も、そして大きな太鼓の音が鳴り響く。まさにエンターテイメントだ。儀式の所作が決められており、動き一つ一つにも美しさが宿る。
その中で中央の護摩火が大きく燃え上がる。
信者でなくてもうっとりしてしまう。
お金を出さなくてもただで、このエンターテイメントが楽しめる。帰りには、守札の一つでも買って帰ろうという気になる。
三万円も出せば、大きな木札がいただけて、願い事が二つまでできるそうだ。安いものではないか。