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夏の雲行くぜ人間グライダー

小山正見

草津温泉スキー場のジップラインである。誘われて体験した。
「こんなの選択肢の外だ」と無意識に自己規制していたが、年齢で断られることもなく、受付もスムーズに進んだ。
「断られないんだ」と妙に驚いた。
ロープに吊られて若者が次々に降りてくる。途中で両手を広げピースする。大胆なものだ。格好良く見える。
ロープウェイに乗って頂上までいき、しばし景色を堪能する。
いよいよジップラインだ。並んでいるのは若者ばかり。怖そうな表情を見せながら、キャアキャア嬉しそうである。
こちらは平静を装ってはいるが、何だか落ち着かない。
いよいよ自分の番。手術台に乗せられた時の気分と似ている。
「3、2、1、go!」
一瞬体が沈む。最大時速70キロぐらい出るらしい。
しっかりとロープを握っていたが、気がつくと不思議とスピードを感じない。
前方からの風に体が押し戻される感じがするからだ。これなら怖くない。
若者のように両手両足を広げてピースした。
やったぜ!
滑っていたのは10秒に満たない時間と思うが、爽快な実に楽しい時間だった。
調べてみるとジップラインは全国各地にある。最長は北海道ニセコの全長約2600メートル。沖縄や四国、福井、岐阜など至る所にある。関東にも小田原や秩父など10ヶ所近くある。
人生の残り時間ももう少しありそうだ。