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夏の宵100人会議てふ不思議

小山正見

なかなか洒落たデザインのロゴだ。
このスライドに100人会議の思想が示されている。
「この出会いを面白がろう」である。
出会いであるから、先に繋がるかもしれないが、先に繋がらなくてもいい。面白がって終わりでもいいとも読み取れる。
これまでのほとんどの会は、「先に繋げるため」に行われてきた。「今日を土台にさらに発展させる」ことこそが重要であった。
しかし、この会にはそういう縛りがない。一回一回が独立した回で連続講座でないので毎回参加者をゼロから募る。ここにも縛りがない。
更に、百人登壇して話を聞いたら、会そのものを解散する。会から何かが生まれるかもしれないが、生まれなくてもいいのだ。その思い切りの良さが実に新鮮だ。
声を掛けられたのは、五月だったと思う。登壇者は、一人十分ずつ話し、一回に五人が登壇するという。それを二十回すると百人になり解散、というわけだ。
十分で何が話せるというのか。初めは、懐疑的だった。
六月に試しに覗きに行った。中原市民館の会議室は満席だった。
カウンセラーの西野薫さん、サントリーの神吉さん、フリースペースたまり場の西野博之さんら五人が登壇した。
たった十分なのに話が心に刺さる。生き様が見えてくる。もしからしたら十分という短い時間だからこそ人間が凝縮されるのかもしれないと感じた。
あっという間に一ヶ月が経った。最初は俳句フォトのワークショップバージョンを考えたが、結局はフルバージョンで、こども俳句の話、句集『大花野』の話、そして俳句フォトのワークショップをすることにした。
盛りだくさんだが、これが十分の中に収まったのだから不思議だ。
話し終わったら、西野さんが「小山さんの話、よかった!」と言ってくれた。少し安心した。
懇親会でも俳句に興味をもってくれた方が何人もいたことがわかりうれしかった。
ぼく自身としては、絵描き屋みかんさんの水彩色鉛筆の話や川崎市文化財団理事長の中村茂さんの役所時代の細かな経歴のスライドが実に面白かった。
こうして100人会議への登壇は終わったのだが、感謝したい人がいる。Mさんである。
100人会議への登壇を勧めてくれたところから始まり、事務局との折衝を全てして下さった。使用するスライドも全て作って下さり、当日は会場への道案内も記録も・・・・何もかもして下さった。
「この出会いを面白がれた」のはMさんのおかげだ。
いい人々に囲まれている幸せを感じた。