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四月二日小田原城の天守閣

小山正見

小学館の週刊ポスト系web「NEWSポストセブン」に掲載されている写真は、ぼくが提供したものであるが、それが何処でいつの写真だったか確かめてみた。
場所は小田原城だった。天守閣に上り、近くにいた人に頼んで写真を撮ってもらったのだ。
妻の病気がわかってから意識的にに旅行に出かけるようにした。記憶があるうちに少しでも楽しい思い出を作ろうと思った。
京都にも行った。立山も登った。蓼科には何度も行った。
二人で撮ってもらった写真は山ほどある。近くにいる人に無遠慮に頼んで撮ってもらったのだ。編集してフォトブックに作った。そうすれば何度も見返すことができる。
スマホの写真機能は優れている。調べればいつ何処で撮ったものか、たちどころにわかる。写真のf値までわかるようになっている。
この旅行の時も何枚もの写真があった。
小田原城の桜を見て、湯河原に泊まったのだ。桜はまだ満開には程遠かったように記憶している。
妻の持っているボストンバッグの中には着替えなどが入っているが、彼女自身で用意した。
春らしいコートも自分で選んだものだ。
発症から5年目だった。認知症は怖い病気だが、突然何もできなくなるわけではない。猶予の時間がある。今思うとそれは救いであったと思える。
楽しい時間は、楽しく過ごせるということだ。
調べてみて驚いた。
この写真は2017年4月2日だったのだ。今から8年前の今日だ。
妻もぼくもいい顔をしている。
人間は誰しもいずれ死ぬが、二人の結婚生活は幸せだったと思わせる写真だ。ぼくは幸せだった。

四月二日小田原城の天守閣

東京新聞川崎版の「小山正見のかわさき俳句フォト」は4月6日(日)に掲載予定です。