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商魂の火花を散らす師走かな

小山正見

お馴染みの風景、上野のアメ横である。
「アメ横」の由来は、アメリカものジーンズなどを売る店が多いから、ではない。戦後の闇市で「飴」を売る店が多かったことに由来する。
ガード下には小物や宝石らしきものを売る店が迷路のように並んでいる。外に出れば、海産品や衣料品、菓子屋など雑多な店が入り乱れている。400メートルの中に400軒がひしめき合っている。
年末の光景はテレビでも見慣れている。年末の一つの風物詩だ。
まだ年末まで日があるせいか、客はそれほどでもない。外国人の姿が目につく。
墨田区に住んでいた頃、上野はよく歩いた。お花見の時期は必ず上野公園に行った。祖父の小山潭水(盆景家)が基を作ったとされる動物園の猿山をしげしげとの眺めにも行った。
一番印象に残っているのは上野公園の入口の階段に並んだ似顔絵描きだ。今はどうなっているのだろう。
好物だったとんかつのうまい店もあった。
蓬莱屋という有名な店があるが、この店は高い。ニランク下げて武蔵野という店によく入った。今は既に閉店しているらしい。双葉という店もあった。
カレーのデリーは今も健在で行列ができていた。50年。上野も栄枯盛衰だ。そうだとしても上野はやはり上野だった。