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十月を迎へん夜の散歩かな

小山正見

夕食後、夜の散歩に出かけた。本当に久しぶりだ。我が家から元住吉駅の向こう側まで、時間にして約二十分から三十分。歩数にして約三千歩歩く。
早足で、てきれば手を振って歩く。
実は、糖尿病対策なのだ。我が家は糖尿病家系。祖父は糖尿病が原因で亡くなったと聞いた。父は、今の私の年頃にはほとんど目が見えなかった。糖尿病性網膜症だったと思われる。そのため、本は天眼鏡で読んでいた。長いものが読めないので、短歌や俳句が読書の中心だった。
ぼくも五十代の半ばから医者にかかり始めた。ヘモグロビンA1cの値に一喜一憂してきた。数値が7を超えないようにと医者に言われ続けてきた。しかし、七十代に入ると薬を飲んでも7を下回ることが難しくなってきた。
落胆していたら「もう年ですから8を超えなければいいんじゃないですか」と医者に言われた。慰めるために言ったのだろうが、こちらとしては「それだったら早く言ってくれよ」と腹立たしい。
この辺の匙加減は医者としてもむずかしいところだろう。
今年の夏は暑かったので、糖尿病対策どころではなかった。食後の散歩に行く気にはとてもならなかった。いや、それ以前に家で夕食を作って食べようという気にもならなかった。朝は喫茶店のモーニング、夜は外食で体にいいはずがない。
甘い物も随分食べた。摂生をしているつもりだが、昨日も美味しいどら焼きをつい食べてしまった。さすがにコーヒーに砂糖を入れるようなことはしないが、好物のカルピスウォーターも甘いジュースも飲んだ。そのくらいしないと、やってられないのが今年の夏だった。
体が重くて動かなかったが、ようやく夜の散歩に出かける気になったのだから取り敢えず「よし」としようか。
まだ、百日紅が咲いていた。今年の夏の長さを思った。
今日は久しぶりに歩数が一万歩を超えた。
さて、十月だ。