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冬うららお帰りなさいピーコちゃん

小山正見

もとすみブレーメン通り、サーティワンアイスクリームの前である。
ピーコちゃんが戻ってきた。鳴き声で気がついた。カナリアの鳴き声は高いし、多様。よく響く。
もちろん前のカナリアが戻ってきたわけではない。頭の毛が茶色い。しばらく籠の前で眺めていると、「あら、戻ってきたのね」という声。気にしていた人は多いのだ。
生き物を飼うのは大変だ。
学校でもかつては必ず生き物を飼っていた。命というものを知らなければならないという根本思想があったのだろう。長野県の伊那の学校では山羊を飼い、出産や死というものにまで踏み込んだ。
鶏を飼い、最後は締めて食べるところまで教えた学校があった。
それがだんだんに形骸した。それでも生活科という教科が生まれ、教材とされたうさぎが都内の各学校で飼育された。ぼくが勤務した学校にも広大な飼育舎があり、うさぎと鶏を飼っていた。普段は飼育委員の子どもたちが掃除をし、餌を上げるのだが、夏休みやお正月が大変だった。生き物を飼うとは一日も世話を抜かせないということだ。担当の先生が元旦から学校に出かけて餌をあげた。ぼくもその役割を担ったこともある。。
その内、子どものアレルギーが問題となり、鳥インフルエンザやコロナなど野生動物が原因の伝染病が流行ると子どもに動物の世話をさせるのは如何なものか、ということになる。
今は詳しい状況を知る立場にはないが、動物を飼っている学校は激減しているのではあるまいか。
カナリアも複雑な気分で鳴いているに違いない。