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何処からかお昼のチャイム春隣

小山正見

久しぶりの何の予定も入っていない一日。暇なので、多摩川に出かけた。まだ寒の内というのに日差しは春だ。風もない。
橋を渡れば府中だ。是政橋の上に立って多摩川の流れを眺める。遠くには二子玉川のビル群らしきものが見える。最近雨が少ないせいか、多摩川の水量は少ない。鴨の一群が水脈を引いて泳いでいる。それ以外、川面はどこまでも静かだ。
時折ジョギングをする人やサイクリングの自転車が通る。土手には桜の並木が続いている。桜は既に固い蕾はをつけているに違いない。ここも桜の名所の一つなのだろう。
突然、従兄弟に鮎釣りに連れてきてもらったことを思い出した。
川崎市には川崎区から多摩区まで七つの行政区がある。東西に長細く、特徴がそれぞれに異なっている。というと聞こえは良いが、逆にいうと同じ自治体である必然性がないほどに違う。その七つの区を結びつけているものは、南武線と多摩川しかない。
南武線だって、多摩川上流の砂利を河口の工場地帯に運搬するだけの貨物線だった。
と考えると多摩川が川崎市を結びつけているとも言える。
それにしてもいい天気だ。今日は一月三十日。今年の立春は二月三日である。
春はすぐそこだ。