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九月尽珈琲館のモーニング

小山正見

珈琲館はチェーン店で各地にある。ぼくが時々入るのは、九段下、門前仲町、そしてこの住吉店である。
最近は観光地などに「珈琲館 蔵」 という和風の高級店を立ち上げたそうだ。
ベローチェやカフェドクリエーなども同系列だと知ってびっくりした。
ぼくは、江東区住吉の珈琲館で十二年前から年に数度モーニングを食べる。近くの深川七中で、月に一度江東区中学校俳句部の会合があるからだ。
九月。四月から始めて半分が過ぎた計算になる。
今日の俳句部では、中秋の名月にちなんで月の句。また、学校近くの商店街を巡りミニ吟行もした。わずかな時間に子どもたちが次々と句を作るのには舌を巻く。
ぼく自身の詠んだ句は

自販機の水のまぶしき残暑かな

二人の子が選んでくれた。
俳句部では、最近面白い取組をした。
一つは自己紹介だ。普通は一回りで終わりだが二周回すことにした。
二回目は、一周目で言わなかったことをいうように条件をつけた。一回目はありきたりのことが多かったが、二回目になるとグッと具体的なエピソードが増え、親近感が増した。三回目をしたら、更に面白くなったかもしれない。
同じように夏休み明けには、夏休みの報告を求めた。条件はできるだけ長く話すこと。一人10分(笑)
小学校などで「一分間スピーチ」などと称して、話をさせる取組はあるが人前で十分間話した子は恐らく誰もいない。
経験させてみる価値はある。
「誰か?」と聞いても誰も居ない。当然だ。こういう時は最初が肝心。この子ならどうにかできるのではないかという子を指名。ほとんど無理矢理に質問を交えながらも話を続けさせた。十一分!
「できるじゃないか」
「先生は本気でみんな十分話させようとしている」ということを感じさせたら、成功だ。場の持つ力の大きさを感じる。子どもは覚悟を決め、結局、全員が話をした。しかも自ら手を挙げて。
一丁前に話ができるということは自信につながる。
こんなことがあるから俳句部の指導はやめられない。