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一本に百の蕊あり曼珠沙華

小山正見

曼珠沙華の俳句と言えば、何と言っても山口誓子の

つきぬけて天上の紺曼珠沙華

が有名だ。
曼珠沙華の赤と空の青との対比が鮮やかである。この句は、ぼくに俳句の魅力を感じさせてくれた句の一つだ。30代の半ば頃である。そう考えるとぼくと俳句の付き合いは、40年になるのかもしれない。
誓子に並ぶのが、森澄雄の

西国の畦曼珠沙華曼珠沙華

だろう。金子兜太には

曼珠沙華どれも腹だし秩父の子

がある。
曼珠沙華は、一般に彼岸花と言われる多年草だ。田畑の畦や寺院やお墓の周辺にもよく見られる。モグラなどの獣害対策として植えられることも多かったようだ。日本で繁殖している曼珠沙華は種では子孫を残せないらしい。基本的には、人間の手で広げられた花である。蕊は何の役にもたたないのだ(笑)
赤が多いが、中には白やピンクのものもある。
曼珠沙華を「美しい」と感じる人も多い。
わざわざ曼珠沙華を見に行くツアーもある。埼玉県の巾着田のいわゆる五百万本の曼珠沙華などは、特に有名である。神奈川県藤沢の小出川では、シーズンに合わせて「彼岸花まつり」が行われる。曼珠沙華は全国各地に広がっていると言ってもいいだろう。
しかし、ぼくはどうにもこの花を好きになれない。

赤白を揃へて妖し曼珠沙華

という句を詠んだくらいだ。理由はわかならいが、何となく気持ちが悪いのだ(笑)
しかし、山口百恵の歌った「曼珠沙華」(まんじゅしゃか)は大好きだ。この歌を知ったのは、先日亡くなった歌手門倉有希のアルバムによってだ。幾度聴いたか数えきれない。

涙にならない
悲しみのある事を知ったのは
ついこの頃

で始まる歌である。