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パソコンを抱えMacの夜長かな

小山正見

Macとは、マクドナルドのことである。よりによってMacでなくてもよいではないかと思われるかもしれない。その通りだ。ふかふかした気持ちよい椅子の喫茶店が他にたくさんある。チェーン店でも上島珈琲もあるし、タリーズもある。昼間なら躊躇なくそちらに行くかもしれない。
ぼくの残りの人生はそう長くはない。喫茶店で仕事をする体力と気力が保てるのは数年かもしれない。2、3百円高くても、そのくらいなら貯金が底をつくわけではないだろう。
朝なら、コメダ珈琲と決めている。簡単なモーニングがつくからだ。コメダはコンセントもWi-Fiもあり、仕事する環境がそろっている。カウンターに座るとテーブルが広いし、隣と隔絶されているから落ち着く。その辺がドトールと異なる。ドトールはフリーWi-Fiはあるが、テーブルが狭く資料など広げられないのが残念だ。時によるが少し落ち着かない。
だったらMacなど論外だろうと思われるかもしれない。珈琲を飲むのに一番格安なのはMacだが、理由はそれだけではない。今は24時間ではないにしても、朝一番早くから夜一番遅くまで営業しているから時間を気にすることがない。
それに一番管理されていないのがMacなのだ。店員も誰も客のことなど気にしていない。公衆の広場に一番近いのがMacといえよう。それは、ある意味とてもとても気楽なことなのだ。
まだ理由はある。
夜遅くまでMacにいるとジジイはぼく一人。自分も若くなったような気がする。ドトールなどは、ばあちゃんたちの社交場になっているが、Macでは高校生がたむろしている。若い学生やサラリーマンがパソコンを広げている。資格試験の勉強をしているらしい若者もいる。彼等の中に混じっていると自分も同じ様な気分になってくるから不思議だ。そんな時、Macの堅い椅子はけっこう座り心地がいいのだ。
マクドナルドとはどういう意味か。先日初めて知ってびっくりした。
アメリカには◯◯の息子という名前が多いという。ジョンソンはジョンの息子、ウイルソンはウイルの息子なのだそうだ。そしてマクドナルドはドナルドの息子。なるほどねえ。考えたこともなかったし、思いつきもしなかった。
そんなわけで、ぼくは時々Macに行き、安い珈琲を飲む。けっこう美味い。