俳句フォトエッセイ2024.09.10バリカンをあてて刈り上げ九月来し小山正見線路際にある「バロン」とう名の店が行きつけの床屋だ。床屋が差別用語だという人もいるが、そんなことはないだろう。床の間がある立派な店というのが、床屋の語源だという説もあるくらいだ。「理容室」と「美容室」は微妙に違うようだ。色々あるのだろうが、美容室がカミソリをつかなえないのに対して、理容室はカミソリの使用が可なのだ。だから理容室では髭を剃ってくれる。考えてみれば、命を委ねているようなものだから恐ろしい話ではある。昔、床屋は半日仕事であった。カットとシャンプー、それに髭剃りと合わせてI時間くらいはかかった。一人にかかる時間が長いから待ち時間も長い。値段もいい。そこに登場したのがQBハウスという千円の床屋だった。安いし、早い。ぼくは、早速それに飛びついた。おしゃれにはとんと興味がなかった。おかしくない程度に髪の毛を揃えてくれればそれでよい。ハゲるのを気にした時期もあり、生えもしない「毛生え薬」を振りかけたこともあった。すぐにこれは、「けやすめ薬」にしかすぎないと悟って止めたのがよかった。QBハウスのような千円床屋が流行ってあちこちにできた。困るのは、理容師さんの腕がバラバラなことだ。上手い人に当たればよいが、下手な人にあたるとオシャレでないぼくでも「失敗したな」と感じてしまう。もう20年以上前だと思うが、ひどく下手な人に当たってしまった。確か、神保町の駅の近くの店だった。バランスが悪いのか、どんどん髪の毛が短くなっていく。まるでバリカンで刈ったかのようだ。たまりかねたのだろう。店の上の人が出てきて、髪の毛を整えてくれた。すると、それが何となく気に入った。ハゲさえ気にしなければ、なかなかよい。「ソフトモヒカン」だと教えてくれた。モヒカン族のモヒカンである。ロック歌手か暴走族のようである。若い人のようで結構格好いい。床屋で「どんな風にしますか?」と聞かれて「ソフトモヒカン」と答えかるのは気恥ずかしいが、ほとんど髪の毛のなくなつた今でもこの髪型で通している。台風による雨のせいか、店には誰も客がいなかった。スッキリして、65歳以上の老人割引1900円を払って、外に出ると雨が上がっていた。今日から九月である。
線路際にある「バロン」とう名の店が行きつけの床屋だ。床屋が差別用語だという人もいるが、そんなことはないだろう。床の間がある立派な店というのが、床屋の語源だという説もあるくらいだ。
「理容室」と「美容室」は微妙に違うようだ。色々あるのだろうが、美容室がカミソリをつかなえないのに対して、理容室はカミソリの使用が可なのだ。だから理容室では髭を剃ってくれる。考えてみれば、命を委ねているようなものだから恐ろしい話ではある。
昔、床屋は半日仕事であった。カットとシャンプー、それに髭剃りと合わせてI時間くらいはかかった。一人にかかる時間が長いから待ち時間も長い。値段もいい。
そこに登場したのがQBハウスという千円の床屋だった。安いし、早い。
ぼくは、早速それに飛びついた。おしゃれにはとんと興味がなかった。おかしくない程度に髪の毛を揃えてくれればそれでよい。
ハゲるのを気にした時期もあり、生えもしない「毛生え薬」を振りかけたこともあった。
すぐにこれは、「けやすめ薬」にしかすぎないと悟って止めたのがよかった。
QBハウスのような千円床屋が流行ってあちこちにできた。
困るのは、理容師さんの腕がバラバラなことだ。上手い人に当たればよいが、下手な人にあたるとオシャレでないぼくでも「失敗したな」と感じてしまう。
もう20年以上前だと思うが、ひどく下手な人に当たってしまった。確か、神保町の駅の近くの店だった。
バランスが悪いのか、どんどん髪の毛が短くなっていく。まるでバリカンで刈ったかのようだ。たまりかねたのだろう。店の上の人が出てきて、髪の毛を整えてくれた。
すると、それが何となく気に入った。ハゲさえ気にしなければ、なかなかよい。
「ソフトモヒカン」だと教えてくれた。モヒカン族のモヒカンである。ロック歌手か暴走族のようである。
若い人のようで結構格好いい。
床屋で「どんな風にしますか?」と聞かれて「ソフトモヒカン」と答えかるのは気恥ずかしいが、ほとんど髪の毛のなくなつた今でもこの髪型で通している。
台風による雨のせいか、店には誰も客がいなかった。
スッキリして、65歳以上の老人割引1900円を払って、外に出ると雨が上がっていた。
今日から九月である。