俳句フォトエッセイ2024.04.16ただここに春灯一つありにけり小山正見灯りを見て思い出したのは、別役実の舞台だ。別役の舞台には電信柱が一本だけ、裸電球がぼおーっと光っている。別役実はいわゆる不条理劇の作家だ。不条理劇の代表作と言えばベケットの「ゴドーを待ちながら」だが、幸運なことに、ぼくはこれも見ている。別役の劇は舞台装置が簡単でほとんどいらないこと、登場人物も数人と少ないので、高校の演劇部が公演するにはもってこいだったらしい。僕が別役に出会ったのは、芝居からではなく、『虫づくし』と言う一冊の本からだった。そこから始まって、童話集や脚本を読みまくった。安部公房に「友達」という芝居があるが(これも観ることができた)、別役はこの芝居を辛辣に批判し、もし「友達」が不条理劇ならばとして、台詞一つ一つを徹底的に批判した。この評論集の痛快さは並ではない。ある時、中村伸郎の「虫づくし」の朗読を観た。その雰囲気に酔いしれた。中村伸郎は別役演劇には、欠かせない役者である。晩年は病気で苦しんだ別役は2020年に亡くなった。今、別役の名前を覚えている人はどれだけいるだろうか。別役の奥さんは楠侑子という女優さんだった。別役の死後、ある縁で、この方から別役の最後の本を頂いた。僕はまだこの本を読んでいない。
灯りを見て思い出したのは、別役実の舞台だ。
別役の舞台には電信柱が一本だけ、裸電球がぼおーっと光っている。
別役実はいわゆる不条理劇の作家だ。不条理劇の代表作と言えばベケットの「ゴドーを待ちながら」だが、幸運なことに、ぼくはこれも見ている。
別役の劇は舞台装置が簡単でほとんどいらないこと、登場人物も数人と少ないので、高校の演劇部が公演するにはもってこいだったらしい。
僕が別役に出会ったのは、芝居からではなく、『虫づくし』と言う一冊の本からだった。そこから始まって、童話集や脚本を読みまくった。
安部公房に「友達」という芝居があるが(これも観ることができた)、別役はこの芝居を辛辣に批判し、もし「友達」が不条理劇ならばとして、台詞一つ一つを徹底的に批判した。この評論集の痛快さは
並ではない。
ある時、中村伸郎の「虫づくし」の朗読を観た。その雰囲気に酔いしれた。中村伸郎は別役演劇には、欠かせない役者である。
晩年は病気で苦しんだ別役は2020年に亡くなった。今、別役の名前を覚えている人はどれだけいるだろうか。
別役の奥さんは楠侑子という女優さんだった。別役の死後、ある縁で、この方から別役の最後の本を頂いた。
僕はまだこの本を読んでいない。