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いろは紅葉水面に浮かべクリスマス

小山正見

さて、クリスマスイブである。いつからこんなに日本にクリスマスが入りこんだのだろうか。一説によれば、銀座明治座でのクリスマス商戦がその始まりだと言われる。確かにクリスマスはキリスト教の行事だが、バレンタインデーやハロウィンのように、宗教より商売と深く結びついている。
今日もケーキ屋の前には長い列ができていた。ぼく自身、初めてケーキというものを食べたのは、クリスマスだったような気がする。
クリスマスケーキが日本で初めて販売されたのは1910年のこと。時代はまだ明治だから、歴史は長いとも言えよう。

一時、「クリスマスは宗教行事だから、クリスマスの俳句はまかりならん」と言われたことがあるが、これは日本のクリスマスの歴史を見誤ったものだろう。

クリスマスと言えば、実に楽しい思い出がある。八名川小学校時代のことである。
PTAの役員の忘年会の席で、クリスマスにこどもたちにプレゼントをしたらどうかという話が出た。
「面白いねえ」
次の朝、早速PTAの会長さんに電話をした。
「昨日の話、本気?」
皆酔っていたので、確かめてみたら「やる」と言う。
それからはPTAの独断場だった。
子どもたちへのプレゼントのお菓子を密かに準備し、当日はサンタなどの着ぐるみも用意されていた。
ぼくは、加わるつもりはなかったが、流れでニワトリの着ぐるみを着させられた。
計画は、この日まで誰にも秘密。先生方にも話をしていなかった。
突然の乱入だ。
ある学級は、テストの真っ最中だった。またある学級では、先生がお説教をしているところだった。
お構いなしに、
「メリークリスマス!」
と叫びながら教室のドアを開けた。こどもたちも先生もびっくり仰天。
何事が起こったのかという顔をしている。
ブレゼントのお菓子が配られるとこどもたちの喜ぶ顔が弾けた。
次の年からPTAの恒例行事になってしまった。
洗練され、ついに本格的なハンドベルの演奏までプレゼントされるようになった。
かの海賊ジャック・スパローの本格的な仮装も現れた。
面白かった。
そして、面白くなくては学校ではない。