俳句フォトエッセイ2024.12.18極月や岡本太郎の前に立つ小山正見小田急線の向ヶ丘遊園の駅を降り、15分ほど歩くと生田緑地だ。生田緑地には民家園もプラネタリウムもある。つい先日までは緑化フェアの会場になっていた。紅葉が美しい。岡本太郎美術館はその生田緑地の奥にある。メタセコイアの木立を抜けると緑に覆われた美術館が姿を現す。来年初めまで「岡本太郎に挑む」と題する展覧会が行われている。しかし、挑むのは大変だろう。何しろ相手は「爆発」なのだから。岡本太郎の仕事で一番有名なのは1970年の大阪万博の太陽の塔だ。当時の万博の事務総長だった新井真一氏が「10億の予算をどのように使ってもよい。口は一切出差ない」と岡本太郎を口説いたらしい。太郎は信頼している友人や知人に意見を聞いたところ、皆反対だった。皆が揃って反対するのだったら「一つやってみよう」と考えたらしい。いかにも岡本太郎らしいエピソードだ。岡本太郎の代表作の一つ「明日への神話」も大壁画だ。渋谷のマークシティにある。しかし、彼の作品は大物だけではない。小さなガラスのコップからトランプの絵柄、「座ることを拒否する椅子」etc.。太郎は、生活のあらゆるものを対象に作品を作った。岡本太郎美術館には、大から小まで岡本太郎の全てが詰まっていると言ってよい。たとえば「眼玉」の作品群は圧巻だ。ぼくの好きな作品「千手」には心の臓まで掴み取られそうな錯覚に陥る。岡本太郎の前に立つには、勇気がいる。精一杯自らの血を沸き立たせなくては、たちまち「爆発」に吹き飛ばされてしまう。自分の生を確かめるために、これからもこの場所を訪れたい。
小田急線の向ヶ丘遊園の駅を降り、15分ほど歩くと生田緑地だ。生田緑地には民家園もプラネタリウムもある。つい先日までは緑化フェアの会場になっていた。
紅葉が美しい。岡本太郎美術館はその生田緑地の奥にある。メタセコイアの木立を抜けると緑に覆われた美術館が姿を現す。
来年初めまで「岡本太郎に挑む」と題する展覧会が行われている。しかし、挑むのは大変だろう。何しろ相手は「爆発」なのだから。
岡本太郎の仕事で一番有名なのは1970年の大阪万博の太陽の塔だ。当時の万博の事務総長だった新井真一氏が「10億の予算をどのように使ってもよい。口は一切出差ない」と岡本太郎を口説いたらしい。太郎は信頼している友人や知人に意見を聞いたところ、皆反対だった。皆が揃って反対するのだったら「一つやってみよう」と考えたらしい。いかにも岡本太郎らしいエピソードだ。
岡本太郎の代表作の一つ「明日への神話」も大壁画だ。渋谷のマークシティにある。
しかし、彼の作品は大物だけではない。小さなガラスのコップからトランプの絵柄、「座ることを拒否する椅子」etc.。太郎は、生活のあらゆるものを対象に作品を作った。岡本太郎美術館には、大から小まで岡本太郎の全てが詰まっていると言ってよい。
たとえば「眼玉」の作品群は圧巻だ。ぼくの好きな作品「千手」には心の臓まで掴み取られそうな錯覚に陥る。
岡本太郎の前に立つには、勇気がいる。精一杯自らの血を沸き立たせなくては、たちまち「爆発」に吹き飛ばされてしまう。
自分の生を確かめるために、これからもこの場所を訪れたい。