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梅雨明けを待つや江東歳時記碑

小山正見

『江東歳時記』とは、戦後江東区砂町に住んだ俳人石田波郷の著作である。1957年から58年にかけて東京の江東地域を俳句、写真とエッセイで紹介し、讀賣新聞江東版に連載された。
言わば「小山正見のかわさき俳句フォト」の元祖のような作品である。
この『江東歳時記』の記念碑が小名木川沿いに建っている。波郷の「小名木川駅春の上潮曇るなり」の句が記されている。元の江東区長、山崎孝明氏の筆である。
実はこの記念碑に僕は縁がある。この碑の裏に僕の名前も刻まれているのだ。(笑)
江東歳時記の碑の建立を仕掛けたのは、ポン友のK先生だ。
K先生は役所で、僕の前の席に座っていた。ある日、
「おい、小山!今度、波郷の碑を建てるから寄付しろよ」
「いくらだ?」

そんなやりとりがあり、永岡先生の名前と並んで僕の名前も掘り込まれたというわけだ。
K先生というのはすごい人だ。深川芭蕉小中学生俳句大会という大俳句大会がある。もう20年以上続いている。今や江東区だけで三万人近い児童生徒の参加がある大会だ。この俳句大会を深川地域で仕掛け、立ち上げたのは彼だ。
そして江東歳時記碑、さらにはカヌーに力を入れ、パラカヌーでオリンピックの代表にもなったモニカさんに寄り添い、全面的にバックアップしたのもK先生だ。
最近はちっともあってないが、どうしているだろう。
江東区の文化の仕掛人。裏方の仕事に徹し、黙々とやり続けたK先生は僕の最も尊敬する一人である。