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呆気なく舞台は廻り夏来る

小山正見

雨が続き、線状降水帯の心配がテレビの天気予報で報じられたかと思ったら、呆気(あっけ)なく梅雨が明けた。
7月18日、夏休み前の最後の授業のため、東西線の南砂町の駅で降りた。
駅が変わっている!細いホームの先頭に改札口があるはずだった。
昔は何も無かった南砂にマンションが林立し、病院やショッピングセンター、企業も進出した。
ホームの改造はその人口増に対応するためだ。
それにしても突然(ぼくにとっては)だった。どちらが出口なのか?迷いながら外に出たら、夏の暑い日差しが降り注いでいた。空は青く街路樹の百日紅の赤い花が咲いていた。梅雨が明けたのだ。
呆気なく季節は変わるものだと思った。
今年は一層暑くなりそうだ。
暑さを表す言葉は沢山ある。
暑い、大暑、極暑、猛暑、酷暑、炎暑というのもある。溽暑となると、もうやりきれない。
ぼくが経験した一番暑い夏は、今から30年ほど前、港区の笄(こうがい)小学校に勤務した時だ。異動したばかりで一年生を受け持っていた。冷房などまるで無かった教室で汗まみれだった。
最も暑かった日は東京で気温が39°に達した。地面ばかりか壁が燃えるように暑かった。
バブルの名残があり、土曜日になると学校の前の通称地中海通りのイタリアンレストランで贅沢なランチを食べた。アリスというフランス料理の店で打ち上げをしたこともある。
溽暑は、ぼくの中では決して嫌な思い出と結びついてはいない。